睦草だより 第41号 2023年2月


今年はアセビがたくさんつぼみをつけました




引き算が大切

 寒い日が続きますが、少しずつ春の気配が漂ってきました。我が家の庭もスノードロップを皮切りに、春の花が咲き始めます。

 我が家の庭は、毎年芽を出す多年草がメインです。自然風を目指しているというのもありますが、ローメンテナンスというのも大きな理由です。ただ、ローメンテナンスといえども、お手入れは必要。どんどん増えるものが多いので、引き算が大切。抜いたり、剪定したりして、その季節に主役になるものを際立たせます。ちょっとかわいそうにも思いますが、思い切って引き算するほど、風通しもよくなって、植物たちは嬉しそうです。
 
 盆栽のお手入れも引き算が大切なのは同じ。立春が過ぎるといよいよ盆栽のお手入れ開始です。枯草を取り除いて、春のエネルギッシュな芽生えを楽しみましょう。かわいい新芽やつぼみを発見すると心躍りますよ。


2月のお手入れ

置き場所
 まだまだ寒い日があり、凍ったり、雪が降ったりします。寒風が直接当たらないようにベランダの内側や軒下に入れるなど工夫します。ただ、この時期は、半日陰が好きな草花も、よく日にあてましょう。

水やり
 引き続き、水やりは2日に1回が目安ですが、原則は、「表面の土が乾いたらあげる」です。よく乾きを見て、乾燥が激しいときは、毎日あげましょう。この季節、思った以上に乾いていることが多いです。


肥料
 12月から2月までは、肥料はお休みです。3月になったら開始です。

実を摘む
 ヤブコウジや大実ゴールテリアの赤い実は、立春を過ぎたら、取ります。そのまま残しておくと、樹が弱り、次の花や実に影響します。特に、雪割草などと一緒に植えているものは、カゴをかぶせていると日の当たりが弱くなるため、私は、早めにとるようにしています。

 とった実を種まきしてもよいでしょう。種まきするときには、皮をむき果肉をとって洗ってから蒔くようにします。

それぞれの鉢をリフレッシュ
 冬の寒さを保護するためについていた枯れ葉や枯れた茎を切り、日光がよく当たるようにします。

 枯れたものをとることにより、全体が見えるようになります。増えたもの、減ったもの、こぼれ種で新しく芽生えたものなど全体を確認し、今年は何をメインにするか方針を考えます。

 こぼれ種が飛んできて芽生えたもの(これを飛び込みと言います)は、いい位置に芽生えたものは残し、不要なものは抜きます。

 寄せ植えで1種類だけ多く増えすぎたものは、根元から切り取ります。消えてしまったものがあったら、同じものを加えるか、別のものを加えるか考えます。

 鉢の縁に芽生えたものは、植物にとって環境がよいので、どんどん育ち、内側のものが弱ってしまいます。そうすると、中が空いてバランスが悪くなるので、外側の強いものは抜いたり、根元から切ったりします。抜いたものを、空いている空間に植えなおしてもよいでしょう。
 
 作ってから3年くらいたち、鉢に根がまわり過ぎてしまったものは、一回り大きな鉢に植え替えをするか、鉢から抜いて根洗いにします。植え替えは2月の中旬から、根洗いにするのは3月がちょうどよい時期です。


お手入れの具体例


ヒメアブラススキ、チョウジソウ、黒葉ニガナ、黄金オトメギボウシの寄せ植えです。


① 不要な草を抜く
 こぼれ種で芽生えた不要な雑草を抜きます。こうすると、全貌がわかるようになります。



② 今年のプランを考える
 今年は、背の高いチョウジソウがメインで、黒葉ニガナの葉と黄色い花が添え。秋には、ヒメアブラススキの穂とチョウジソウの黄色い葉を楽しみたいと思います。

③ 正面を決める
 鉢をぐるぐる回しながら、どこを正面にするか考えます。(山野草の盆栽の場合は、最初に植えたときと正面を変えることがよくあります)作ったときと同様、上から見たときも、横から見たときも不等辺三角形になることを目指します。空間をしっかりとることも大切です。

④ 前面をすっきりさせる
 正面を決めたとき、前面に背の高くなる草があると、圧迫感がでるので、取り除くか位置を変えます。今回、前面にこぼれ種で芽生えたヒメアブラススキは取り除き、ユウゲショウは、後方に移植しました。




⑤ 鉢の端の草をとる
 鉢の端にコバノタツナミソウが芽生えていたので、それを前面に移植します。

⑥ グラス類の量の調整
 位置が確認できたので、ヒメアブラススキやチョウジソウの枯れた茎は枯れた部分をカットします。ヒメアブラススキなどのグラス類は、去年の1株から3株くらい新芽が出るので、抜くか切るかして、量を調整します。(グラス類は強いため、他の植物を弱らせてしまうので要注意。)



⑦ 苔を張りなおす
 今回は、苔が汚くなっていたので、新たな苔を張りました。苔が全面に広がった場合は、苔が浮いてしまい、かつ苔が水をはじいて土に水が浸みこまなくなるので、一旦はがし、綺麗なところを張り直します。土の部分を残すようにした方が、水やりのサインがわかり、植物にとってもいい環境になります。

⑧ お手入れ後

 お手入れがすみ、すっきりとしました。株元や地面に日光が届くようになると、苔の緑が増え、新芽も大きく成長していきます。

 お手入れは、新たに作品を作るのとは別の楽しさがあります。ある程度、植物の生長の姿を知っているので自分の想定を作品に盛り込むことができるからです。イメージどおりになると、とても嬉しいものです。

  一方で、実は、お手入れの方が、新たに鉢を作るのよりも難しいと私は思います。生徒さんからも新たに生えてきたものが何なのかわからず抜けないという声をよく聞きます。また、最初のうちは、どこまで抜いたり切ったりしていいか、躊躇することも多いようです。

 そんなときは、教室に参加される際に、ぜひお持ちください。現物でご説明させていただきます。また、1年近くたって、少し荒れてきた鉢があったら、ぜひお手入れのレッスンを受講ください。教室で一緒にプランを考えて、抜いたり植えなおしたりします。お手入れのレッスンでは、複数鉢作業することが可能です。少ない鉢の場合は、多分時間が余るので、残りの時間で小さな鉢盆栽をお作りいただけます。

  お手入れの知識と技術が、実は、盆栽づくりの根幹のように思います。


2~3月に活躍する草花



セツブンソウ

 山野の落葉樹などの下に生える多年草。早春に2cmくらいの白い花を咲かせます。クリスマスローズと同様、花弁に見えるのは萼片です。青色と黄色のシベが特徴的で愛らしい。球根植物で、夏には、地上が一切なくなる、いわゆるスプリングエフェメラル。他のものと寄せ植えにするとよいでしょう。ただ難易度が少々高めです。

https://www.instagram.com/explore/tags/suzuranra154/でご覧いただけます。
 

春の野草観察ツアー

 今年も春の野草観察ツアーを実施します。

 昨年と違う花を見られるように、少し時期をずらします。自然の中の雑木や山野草の生えている姿を見るのは、作品作りの大変参考になります。興味がある方いらっしゃいましたら、ぜひ、ご参加ください。

◆2023年4月2日(日) 

◆スケジュール
9:00  高尾駅集合 9:12バス乗車 9:30梅の里まちのひろば スタート
早めにランチ 山籟 (ジビエイタリアン)1700円程度
15:00 駒木野庭園着 解散

◆案内 駒木野/野草を守る会

◆費用 800円 (当日支払い)

◆見られる野草(予定) ハルリンドウ、ヤマエンゴサク、ニリンソウ、緑のニリンソウ(珍しい)、イチリンンソウ、各種スミレなど

◆対象 会員の皆様 ご家族やお友達の方を誘っての参加も可能です。

◆その他 駒木野庭園では、常設の盆栽が見られ、その時期、野草イラスト・蝶の展示会もやっています。

◆お申し込み
ご希望の方は、メールにてお申し込みください。
宛先 workshop@be-yourself.jp

◆締め切り 2/19(日)
 実施可否を判断したいため、一旦、この時点で締め切らせていただきます。その後もご希望の方いらっしゃいましたら、ご連絡ください。可能な限り調整いたします。 

 昨年の春の野草観察ツアーの模様はこちらで、秋の野草観察ツアーの模様はこちらでご覧いただけます。


睦草模擬展示会&交流会

 秋に行って好評だった、模擬展示会&交流会を春にも実施してみたいと思います。

 盆栽は作ったときよりも、長く育てていくほどに味わい深くなります。その自分で育てた盆栽を持ち寄って、その季節ならではの景色を皆で作り上げる展示会。ただ、会場を借りる本格的な展示会はまだ難しいため、アトリエ横の自宅スペースをギャラリーにして、参加、閲覧できるのは、会員の方のみの模擬展示会を実施いたします。

 皆さんが持ってきた作品を各自、席飾りにしたり、皆の作品を組み合わせて、野山の景色を作ったりすることができればと思っております。その際に、飾る前の準備や、実際の飾り方などを皆と一緒に勉強しましょう。

◆内容 春の展示会&交流会
 展示したものは写真撮影し、Web展示会にて掲載します。
 お茶とお菓子を用意するので、作品を見ながら、交流を深めましょう。日頃の疑問なども、皆で解消できればと思います。

◆日時 以下の日程のいずれか1~2回
4/1(土)7(金)8(土)9(日)14(金)15(土)16(日) 21(金)22(土)23(日) 
AM 10:00~13:00  PM 14:30~17:30 

 誠に申し訳ないのですが、出展希望者が多い日時、1~2回だけの開催となりますこと、予めご了承ください。

◆費用 参加費1,100円
  出展せずに、閲覧のみもOKです。

◆各自準備するもの
・作品、陶板、小物など、各自飾り方をイメージして持ってくる。
・1点飾り、2点飾り、3点飾り、どれでもOK。飾りたいものをいくつでもお持ちください。
(他の方の作品とその場で組み合わせて席飾りにするのも面白いと思います。)
・花は咲いていなくてもOK。見所はいろいろあります。
・教室で作ったものでなくても、それを参考に、ご自身で作られたものなどもOK(山野草の盆栽、苔玉、山木風の樹木と山野草の寄せ植え等)
・敷板や台など、手持ちがない場合は、こちらでお貸しします。
・飾る前の細かな調整をアドバイスいたします。

◆お申し込み
宛先 workshop@be-yourself.jp  申込締切:2月19日(日)まで  

記載内容
・氏名
・参加が可能な日付 AM or PM
※参加可能な回の中で、組み合わせを調整するので、複数の日程の記載をお願いします。

昨年秋の模擬展示会の様子はこちらからどうぞ

 

展示会・イベント情報

 展示会・イベント情報のページで国風展の情報を掲載しております。


教室の日程・予約について

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、定員3名にして実施いたします。 

 定員が少ないのでご希望の日程が既に満席となるケースも多いと思われます。そのような場合は、今設定されていない日程でもよいので、皆さまのご都合の良い日程をご連絡ください。教室の都合が合えば、新規日程として追加いたします。
 また、メールでの教室のご予約は、こちらを参照ください。


今後の教室の予定

 3月までの予定を公開しています。4月の予定は、調整中です。決まりましたら、以下のサイトからお申し込みサイトへのリンクを貼るようにいたします。ご確認の上、お申し込みください。(Peatixでフォローしていただくと、予定を公開したタイミングでメールが飛ぶようになります。)
 

 2月の1day ショップは2月12日(日)です。通常の教室でも鉢や陶盤、人形などの小物をご購入いただけますが、場所の関係上、見ていただける鉢の数に限りがあります。1day ショップでは、できるだけ多くの鉢を見ていただけるように陳列します。ゆっくり鉢を選びたい方は、ぜひいらしてください。狭い場所ですので、予約制です。こちらのページからお申込みください。


睦草Web展示会

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お友達紹介プログラム

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