睦草だより 第32号 2022年5月

 


口紅シラン咲きました

 

植物を加える


 置き場所は限られるけれども、いろいろな植物を楽しみたい。盆栽を育てる人たちの共通の悩みだと思います。
 
 私も、たくさん鉢を持っていますが、育てたい植物は次から次へと出てきます。そんなときは、今まで作った作品に新たに加えることを考えます。(作品を崩さずに追加することができます)たくさん植物が入ると、いろいろな季節で楽しめるのも嬉しいポイント。植物の好きな環境、葉や茎の伸び方、葉や花の形、それらを考慮して、ピッタリのところを見つけます。これも山野草盆栽の楽しさの一つです。お手入れの際にはそんなご希望もぜひお聞かせください。
 
 秋がメインだったダイモンジソウとミズヒキソウの根洗いに花色の綺麗なミヤコワスレを加えてみました。春も秋も楽しめる作品になりました。



5月のお手入れ


置き場所 半日陰が好きな草花は日なたから移動

 日なたが好きな草花は、良く日のあたるところに置きます。半日陰が好きな草花は、午前中日があたり、午後影になるような場所か、一日を通して明るい日陰になるような場所に置きます。ユキワリソウは、新しい葉が出てきているかと思います。木陰のような場所(50%くらい遮光)に移します。 

水やり 1日に1回が目安 風の日に注意

水やりは1日に1回が目安となります。風が強いときは、こまめにチェックして鉢の表面が白く乾いていたら、たっぷり水をあげましょう。

風通し 蒸れないように剪定

 葉が茂りすぎると蒸れてしまうので、下葉をとったり、株を抜いり、剪定したりして風通しをよくしましょう。
 地下茎で増えるノギク類、ホタルブクロ、ホトトギスなどは、思わぬところから芽が出てくることがあります。今年は、この芽を育てると決め、その他は思い切って抜いたり地際で切ったりしましょう。その他、こぼれ種で芽生えたものは、位置や組み合わせが良い場合は残し、それ以外は抜きます。
 ヒナソウは、茎が長くなり、草姿が乱れてくる頃となります。そのままにすると蒸れてしまうので、ひとしきり花を楽しんだたら、根元近くの葉のすぐ上で切り戻しをします。

苔のケア 指で押して土に密着

 鉢盆栽の苔が浮いてきてしまっていませんか?北風にさらされたり、霜にあたったりすると、苔が浮いてくることがあります。地面と密着していないと苔は茶色くなってしまいます。そんな時は、霧を吹いて指で苔を上から押して、土に密着させてみてください。

 苔はだんだん増殖するので、鉢の表面積よりも、苔の方が広くなって、浮き上がることもあります。そんな時は、一回はがして水で濡らし、綺麗な部分を使って、もう一度作った時と同じように張りなおしてみましょう。ピンセットがなければお箸でも大丈夫。苔の下の茶色の部分が厚くなっていたら、ハサミで薄くしてから貼ってくださいね。

 苔が黒くなったり、深緑のゼリー状のものや球状のものがついていたりしませんか?苔が死んでしまうと黒くなります。深緑のゼリー状のものは、イシクラゲ。これらは、丁寧にとりのぞきます。
 
苔玉の苔 余分な苔はとる

 作って少し時間のたった苔玉、苔と本体の間に空間ができていませんか?苔玉で使うハイゴケやシノブゴケはどんどん広がる苔です。広がる場所がないと、浮くような形で表面積を広げることがあります。浮いてしまうと、乾燥するので、苔が茶色くなってしまいます。  時々、手のひらで苔玉を包んでにぎり、密着させましょう。

山野草盆栽の苔玉の苔のお手入れ

 苔の方がかなり増えてしまった場合は、余分な苔をとります。薄くなっている部分などに移動させてもいいでしょう。切り取った苔があまり大きくなければ、ピンセットやお箸で、端をミズゴケのなかに埋め込んで密着させます。広い面積の場合は、苔玉を作ったときと同様、黒の木綿糸を巻き付けて密着させてもよいでしょう。



お手入れについて


 昨年作った鉢が冬を超え、新芽が出てくるこの季節、お手入れにいらっしゃる方が多くなってきました。
お手入れは、いくつも鉢を持ってきていただいて、お手入れの回にする場合と、新たな作品を一つ作り、余った時間で一つの鉢をお手入れする場合と二通り選べます。持ち運びのしやすさなども考慮してご希望をお聞かせください。

お手入れ前
 こちらは、新たに芽生えた草が何かわからず、抜けないうちに突然大きく成長してしまった例。
 誰もが経験する道。かくゆう私も同じ道をたどりました。何かわからないと確かめたくなりますよね。

 ただ、しっかり根を張った強い草を抜くのは至難の業。細かい根が張った土はスカスカになります。抜いたほうがいい草かどうか一緒に判断して、早めに対処しましょう。



お手入れ後

 鉢の中で1年育った草花は、お互いになじみ、良い景色を作ってくれます。 消えてしまった植物のところには、予備で育てていただいていた苗やこちらで準備した苗を追加して、新たな作品に仕立て直しました。



5~6月に活躍する草花





 ホタルブクロ

 各地の平地から山地に広く分布する多年草です。高さ30㎝にもなる少し大型の野草ですが、その姿は素朴で親しみがわきます。5月下旬~7月に花を咲かせ、花色は紫のほか、白やピンクもあります。とても丈夫で、よく増えるので、初心者におすすめの草花です。
この草花の入った山野草盆栽は、https://www.instagram.com/explore/tags/suzuranra5/
でご覧いただけます。



2回目以降の方向け苔玉苗

 睦草の教室では、1回目の苔玉は、年間楽しめるもの、剪定が簡単なものということで、ナンテンやハゼノキ、冬にはゴールテリアを準備しています。

 樹木と山野草の寄せ植えにチャレンジした方、これからやってみたい方などに、2回目以降の苔玉としてこの時期おすすめのものをご紹介します。剪定が少し難しいのでお手入れで時々持ってきていただくのがよいかと思います。

 モミジ
 実生の苗木を寄せ植えしたポット苗で苔玉を作ります。何年かしたら、鉢に植えて、モミジの寄せ植え盆栽にチャレンジできます。1本ずつばらして、素材にしてもよいでしょう。




苔玉の下の部分を切って、鉢植えに。
現在、寄せ植え盆栽に仕立て中。



 テリハノイバラ
 これから花が咲く時期になり、うまくすると赤い実も楽しめます。ゆくゆくは、山野草との寄せ植えにしてもよいでしょう。







 ヤクシマハギ
 これから新芽が伸びだし、初夏から秋にかけて花を楽しめます。秋の黄色い葉も風情があります。枝垂れる姿は格別です。写真は、最初から寄せ植えにしたものですが、苔玉からスタートしてもよいでしょう。




 ※これらの苗をご希望の場合は、申し込みの際に記載ください。イロハモミジの苗は、数に限りがあります。ご希望の方はお早目にどうぞ。



Q&A

Q.山野草盆栽の土はどんな土を買ったらよいですか?
 
A. 硬質の赤玉土と砂系のものを7:3で混ぜるとたいていのものに使えます。普通の赤玉土だと崩れやすいので、「硬質」と記載されているものにしましょう。ホームセンターでは、硬質で細かい粒の赤玉土はなかなか置いていないので、通販を利用するとよいでしょう。砂系は、教室では日向砂(日向土)や十和田砂を使っていますが、桐生砂なども入手しやすいかと思います。

 鉢底の石は、赤玉土の小粒から中粒や、砂系の土をふるった大き目のものを使います。

 教室では、「硬質焼成赤玉土 三本線 極小粒」というのと、「ひゅうが土 細粒」というものを使っています。プランテーションイワモトのサイトでは、5Lサイズも販売しています。たくさん土が必要な場合は、自分で買った方がお得です。
 
 土の保管場所がない、ふるいなどの道具がなど、手軽に使う分だけ土が欲しい場合は、教室の土をご利用ください。赤玉土をふるって日向土とブレンドしたものをお分けしています。鉢底の石もおまけでおつけいたします。

900ml 440円(税込)


展示会・イベント情報

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確認してください。(日草展、青柳展、大多摩山草会春の展示会についてのせております。)


教室の日程・予約について

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、引き続き、定員3名にして実施いたします。 

 また、メールでの教室のご予約は、こちらを参照ください。


今後の教室の予定

 6月までの予定を公開しています。7月の予定は、調整中です。決まりましたら、以下のサイトからお申し込みサイトへのリンクを貼るようにいたします。ご確認の上、お申し込みください。
 


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