睦草だより 第8号 2020年5月

山野草 シラン
シランの花が咲きました

ハイキングの光景


 植物たちが、勢いよく伸び始め、新緑まぶしい季節です。ここ数年、ゴールデンウィークは弘法山(神奈川県秦野市にある、標高200m程度の低い山)にハイキングに行っていたのですが、今年は残念ながら、お預け。代わりに家で、その時の光景を思い出しながら、盆栽の世話をしています。
 森の中を歩くと、緑の茂みの中に、時折、スミレの花やノバラが咲いています。緑を背景にポツン、ポツンと咲く姿はとても可憐です。盆栽の景色を作るときも、それを頭に描いて花の見え方を調整すると、山野草の良さが引き立つように思います。今は、インターネット上にたくさんの森の写真があるので、参考にしてみるといいですよ。

弘法山ハイキング時の写真 ノバラ
ハイキングの時の写真(ノバラ)

5月のお手入れ


置き場所

 外出自粛で一日中家にいるので、盆栽を置く場所の1時間毎の日の当たり方を確認してみました。同じ、ベランダでも右と左とでは、日の当たり方が違います。みなさんもぜひ、確認してみましょう。
 日なたが好きな草花は、良く日のあたるところに置きます。半日陰が好きな草花は、午前中日があたり、午後影になるような場所か、一日を通して明るい日陰になるような場所に置きます。
 ユキワリソウは、新しい葉が出てきているかと思います。木陰のような場所(50%くらい遮光)に移します。
 苔玉は、気温があがり、苔が乾きやすくなるので、直射日光のあたらない場所に置きましょう。
 最近の気候は不安定なので、真夏日のような日も出てくるかもしれません。その場合は、早めに遮光をしましょうね。

水やり

水やりは1日に1回が目安となります。風が強いときは、こまめにチェックして鉢の表面が白く乾いていたら、たっぷり水をあげましょう。

風通し

 葉が茂りすぎると蒸れてしまうので、下葉をとったり、株を抜いり、剪定したりして風通しをよくしましょう。
 地下茎で増えるノギク類、ホタルブクロ、ホトトギスなどは、思わぬところから芽が出てくることがあります。今年は、この芽を育てると決め、その他は思い切って抜いたり地際で切ったりしましょう。その他、こぼれ種で芽生えたものは、位置や組み合わせが良い場合は残し、それ以外は抜きます。
 ヒナソウは、茎が長くなり、草姿が乱れてくる頃となります。そのままにすると蒸れてしまうので、ひとしきり花を楽しんだたら、根元近くの葉のすぐ上で切り戻しをします。

苔のケア

 鉢盆栽の苔が浮いてきてしまっていませんか?北風にさらされたり、霜にあたったりすると、苔が浮いてくることがあります。地面と密着していないと苔は茶色くなってしまいます。そんな時は、一回はがして水で濡らし、もう一度作った時と同じように張りなおしてみましょう。ピンセットがなければお箸でも大丈夫。苔の下の茶色の部分が厚くなっていたら、ハサミで薄くしてから貼ってくださいね。

 苔が黒くなったり、深緑のゼリー状のものや球状のものがついていたりしませんか?苔が死んでしまうと黒くなります。深緑のゼリー状のものは、イシクラゲ。水が多すぎるのが原因です。水やりを少し控えめにしましょう。そして、この部分は丁寧にとりのぞき、緑の部分が広がるのを待ちましょう。

苔玉の苔

山野草盆栽の苔玉(クジャクシダ)
上の方は浮いてしまっており、下は黒くなっています

 昨年作った苔玉、苔と本体の間に空間ができていませんか?
苔玉で使うハイゴケはどんどん広がる苔です。広がる場所がないと、浮くような形で表面積を広げることがあります。浮いてしまうと、乾燥するので、苔が茶色くなってしまいます。

山野草盆栽の苔玉の苔のお手入れ
切り取った苔をピンセットで埋め込んでいます

 浮いた部分を切り開いて、余分な苔をとり、薄くなっている部分などに移動させましょう。切り取った苔があまり大きくなければ、ピンセット(なければお箸)で、端をミズゴケのなかに埋め込んで密着させます。苔が大きい場合、数がたくさんある場合は、苔玉を作ったときと同様、黒の木綿糸を巻き付けて密着させます。

お手入れの実例


 作ってからしばらくたった作品のこの季節のお手入れはとても大切です。しかし、教室お休み中で、実物持ちこみのレクチャーができません。代わりに今回は、お手入れの方法の動画を作ってみました。鉢のない「根洗い」で撮影しましたが、鉢の場合も内容は一緒です。参考にして、ぜひ、みなさまもやってみてください。新たに作るのも楽しいですが、既存のものを自分の感性で仕立てていくのは、別の面白さがありますよ。

山野草盆栽のお手入れ前の状態
お手入れ前の状態

 ノギクがたくさん芽を出し全体にモサモサしています。一緒に植えてある、ヘビイチゴやヤクシマイトラッキョウに日が当たらず弱ってきてしまっています。

① 下葉(地面に張り付いている葉)や枯れ葉を取り除きます。こうすることによって全体がよく見えるようになります。
② こぼれ種で芽生えたヘビイチゴ、イヌタデ、ハハコグサを生かすかどうか決めます。
③ 正面を決めます。
④ ノギクは上から見て不等辺三角形になるような位置(3か所)に群落をつくり、それが大中小となるように芽を減らします。
(特に、ヤクシマイトラッキョウやヘビイチゴのまわりは減らします。)
⑤ 正面を南に向け、管理していきます。

山野草盆栽のお手入れ後の状態
お手入れ後


 すっきりと風通しがよくなり、ヤクシマイトラッキョウやヘビイチゴにも日が当たるようになりました。こうすることによって、地面の苔も綺麗に広がると思います。

動画(約5分)はこちらから

盆栽棚のアイデア


 皆さまの盆栽や苔玉は、どこに置いていますか?風通しをよくするために少し高さのある台が必要です。今回は、手軽に作れる盆栽棚のご紹介です。

山野草盆栽の盆栽棚 花台の上に杉板


 こちらは、100円ショップのスチールの花台の上に杉板を載せたもの。板はそのままだと傷みやすいので、キシラデコールを塗っています。(数が少ない場合は、バーナーで焼杉にしても良いですよ)

山野草盆栽の盆栽棚 鉢の上に杉板


 土の上では、スチールはさびやすいので、テラコッタの鉢の上に載せるのもよいでしょう。レンガを積むよりも安定感があってお勧めです。我が家では場所に応じて使い分けをしています。

Q&A


Q.ユキノシタの葉が大きくなり、赤い糸のようなものがでてきました。このままでよいですか?

A. ユキノシタは、放っておくとどんどん葉が大きくなるので、大きな葉が出てきた場合には、根元から取るようにします。

山野草盆栽(フイリユキノシタ)
大きな葉が出てきています

 赤い糸のようなものは、ランナーと言います。このランナーはユキノシタらしさなのでこれを景色として楽しみます。多すぎる場合には、根元から切って減らします。このランナーの先に子株ができます。ユキノシタは花を咲かせるとその株は枯れてしまうので、子株ができるように、U字型のアルミ線でランナーを鉢の良い位置にとめておくとよいでしょう。(クリップなどで代用してもいいですよ)これを呼び挿しといいます。

山野草盆栽 フイリユキノシタの呼び挿し
説明を追加


 左から出たものを上から回して右側の空いた所に持っていき、地面と接するようにとめます。

オンライン教室 お手入れ相談


 ここ数か月、新型コロナウイルスの外出自粛要請のため教室が実施できておりません。お作りになった鉢盆栽や苔玉について相談したいこと、心配なことが出てくる時期かと思います。この時期ならではの、オンライン教室~お手入れ相談~をやってみたいと思います。Zoom(Web会議システム)を使って、個別にリアルタイムで実施します。メールよりも詳しいやりとりができるのではないかと思っています。Zoomをやったことない方でも大丈夫。初チャレンジをサポートしますよ。

◆日時

5月8日(金)13:00~17:00
5月9日(土)13:00~17:00
5月10日(日)13:00~17:00

◆時間
1回あたり40分 (各時00分から40分まで)

◆参加者
お一人もしくはお友達同士で

◆準備いただくもの
相談したい鉢や苔玉、園芸ハサミ、竹箸(先の細いもの)、あればピンセット(なければ、竹箸2本)

◆費用
無料

◆参加方法
パソコンもしくはスマートフォンで指定されたURLにアクセス
※スマートフォンでは事前にZOOM Cloud Meetings のアプリをインストールしてください
※ZOOMの会員登録は不要です。

◆申し込み方法
 Workshop@be-yourself.jp宛にご希望の日時をメールしてください。(いくつか候補をいただけるとありがたいです)開催時の前日までにお申し込みください。

今後の教室の予定

5月の前半の教室は、緊急事態宣言の延長により、とりやめとします。5月22日以降の教室については、緊急事態宣言の状況を見て判断し、ご予約いただいているみなさまには1週間前に、実施するかどうかをご連絡させていただきます。また、いつもなら7月の教室の予定をこのおたよりでご連絡しておりますが、緊急事態宣言の状況を見て、改めてご連絡することにいたします。ご理解のほど、何卒、よろしくお願い申し上げます。

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