2025年6月8日日曜日

睦草 Web展示会 2025年春

 山野草盆栽や草木盆栽をいくつか組み合わせて、その季節ならではの景色を作るのが席飾り。盆栽教室の生徒の皆さんの作品を見ていただくリアルな展示会はまだ難しいので、写真に収めてWeb上で見ていただくWeb展示会という形をとっています。希望者を募って、盆栽教室の生徒のみなさんと私の作品の写真を撮りました。山野草盆栽や草木盆栽の見所は、咲いている花のみならず、様々な葉の色合いや形、つぼみ、穂、樹の立ち上がり、枝ぶり、地面の凹凸、苔、鉢合わせなどいろいろあります。この季節ならではの瑞々しい景色をぜひ、ご覧ください。



■日時  2025年5月31日 東京都狛江市にて撮影


■展示作品
   写真をクリックすると拡大してご覧いただけます。

岩淵 幸子

キキョウ・黒軸カリヤス・ノジギク・アカボシタツナミソウ
ユウゲショウ・ミズヒキソウ・ナキリスゲ・イシガキヤクシマスミレ
ヘビイチゴ・コバノタツナミソウ(自作鉢)


キキョウの花のアップ


黒軸カリヤスの穂


ミズヒキソウの葉


ヘビイチゴのランナー


 キキョウの花が咲くかどうか、ドキドキしながら迎えた模擬展示会の当日の朝、見事に開花してくれたとのこと。咲きたてのキキョウの花は色が濃く、この日しか味わえない色。
それをメインに野原の景色をイメージした席ができあがりました。
 キキョウの後ろでは、黒軸カリヤスが輝く穂を出し、ノジギクの葉の色もキキョウを引き立てています。受けにしたユウゲショウは、教室で作った鉢を初めて根洗い仕立てにしたもの。ユウゲショウが柔らかな曲線を描き、ミズヒキソウの虫食い葉がアクセントになっています。
 小さな鉢は、自作鉢に入れたヘビイチゴ。キキョウの花を目立たせるために、あえて花の咲いているものではなく、緑の葉のだけのものを選んだとのこと。動きのあるランナーがいい流れを作っています。
 



片倉 桃子

ホタルブクロ・フイリヒメカンスゲ・ショウジョウバカマ他(自作鉢)
ベニフウチソウ・ヒトツバショウマ・サクラタデ
ネムノキ


ホタルブクロの花


ベニフウチソウ・ヒトツバショウマ・ユウゲショウ


ヒトツバショウマのつぼみ


ネムノキ


 おおらかに伸びたホタルブクロが見事に花をつけてくれました。咲き切ったものばかりでなく、つぼみも見えるようにいくつか花を吟味に吟味を重ねてマイナスしています。楚々としたこのホタルブクロを引き立てるような優しい景色ができあがりました。
 受けに選んだのは、鞍馬石風の鉢に入れた水辺の景色として作った一鉢。ベニフウチソウの葉が引き立ちます。ホタルブクロの茎の色にベニフウチソウの葉をリンクさせたとのこと。開花には間に合いませんでしたが、ヒトツバショウマのつぼみが次の季節の期待感を高めます。
 小さな鉢に選んだのは、実生で芽生えたネムノキ。この日はあいにくの雨で、葉がちゃんと開くか心配しましたが、綺麗に並んだ葉がよいアクセントになってくれました。




中野 優希

キキョウ・ノガリヤス・ホトトギス青藤
小町ユリ
ヒメツキミソウ


キキョウの葉


小町ユリ


小町ユリの花


ヒメツキミソウの花



 この季節ならではの、緑の葉があふれるキキョウとノガリヤスとホトトギスの一鉢をメインに、ひっそりと咲く小さな花二種が引き立つ席ができあがりました。
 メインは、ボリュームのある葉をかなり引き算して、向こう側の景色が透けるように調整しました。それぞれ葉色と形が異なる草花を寄せることによって、花が咲いていない時期にも美しい景色を作ってくれています。
 受けに選んだのは、柔らかなラインを描いた小町ユリ。少しくすんだ緑の葉が渋い鉢の色に調和し、小さな花とつぼみを引き立てています。
 小さな鉢は、マカロンの形をした鉢に入ったヒメツキミソウ。木の樹皮を地板にしたら、はかない感じが醸し出されました。ポツンと咲いた黄色い花がいいアクセントになっています。




江川 真理子

ホタルブクロ・ショウジョウバカマ・ダイモンジソウ・ミヤコワスレ・ナキリスゲ
アケビ(大竹慎一郎さんの鉢・自作陶板) 
コバノタツナミソウ(自作鉢・自作陶盤)


ホタルブクロの花


ショウジョウバカマとダイモンジソウの葉


アケビのツル


コバノタツナミソウの種姿


 少し前から咲き始めたホタルブクロが、展示会まで頑張ってくれました。取るかどうか迷った少ししぼみかけた花もあえて残し、時の流れを表現しています。半日陰が好きな植物で構成されたこの鉢は、この時期、ショウジョウバカマやダイモンジソウの葉も美しく、こちらをメインに席を構成しました。
 受けにしたのは、動きのあるアケビの鉢。ツルの面白さを表現するために、糸巻の上に自作の陶盤を載せて高さを出しました。可愛らしい五つ葉が奔放にカーブを描き、動きを演出しています。
 小さな鉢は種姿になったコバノタツナミソウ。陶板の上に樹皮を載せ、自然な感じを醸し出す工夫もしています。



岩下 由紀子

ケテイカカズラ・ヤマスズメノヒエ・コバノタツナミソウ(自作鉢)
ヤマアジサイ・ミズヒキソウ(自作陶盤)
スゲ・オトギリソウ(自作陶盤)


ケテイカカズラの花


ケテイカカズラのつぼみ


ヤマアジサイの花


スゲの穂


 奔放に伸びたケテイカカズラが面白い枝ぶりとなり、白い花をたくさん咲かせました。こちらをメインに、山道の山側と谷側の景色を作ってみました。
 受けにしたのは、ヤマアジサイの根洗い。小さな花がたくさん咲くケテイカカズラに対比させ、一つだけ咲く小振りのもの。苔もいい感じに緑になり、色づいていくヤマアジサイを引き立ててくれました。
 小さな根洗いは、ケテイカカズラの崖の下に生えている草のイメージ。柔らかなラインの葉の中でスゲが小さな穂を出しています。












 みなさん 現場で最終調整をするために、いくつか候補の鉢を持ってきています。また素敵にできたので、皆さんに見てもらいたい作品も持ってきています。それらの全員集合の写真です。