睦草だより 第29号 2022年2月




雪割草咲きました



いよいよ春です

 今年もアプローチにスノードロップの花が咲きました。名前の通り、真っ白な雪のしずくのような花です。晴れた日に、ぶら下がった花びらが目いっぱい開いている姿は健気で、思わず笑ってしまいます。

 山野草盆栽も早春の花が咲き始めました。雪割草、バイカオウレン、ヒュウガオウレンなど。

 今年は、寒い日が続きますが、暦の上ではもう春です。
立春を過ぎると、山野草のお手入れ開始です。地上がすっかりなくなっていた宿根草も動き出す時期です。枯草を取り除いて、感動的な芽生えのシーンを見逃さないようにしましょう。


2月のお手入れ

置き場所
 まだまだ寒い日があり、凍ったり、雪が降ったりします。寒風が直接当たらないようにベランダの内側や軒下に入れるなど工夫します。ただ、この時期は、半日陰が好きな草花も、よく日にあてましょう。

水やり
 引き続き、水やりは2日に1回が目安ですが、原則は、「表面の土が乾いたらあげる」です。よく乾きを見て、乾燥が激しいときは、毎日あげましょう。


肥料
 12月から2月までは、肥料はお休みです。3月になったら開始です。

実を摘む
 ヤブコウジや大実ゴールテリアの赤い実は、立春を過ぎたら、そろそろ取ります。そのまま残しておくと、樹が弱り、次の花や実に影響します。特に、雪割草などと一緒に植えているものは、カゴをかぶせていると日の当たりが弱くなるため、私は、早めにとるようにしています。

 とった実を種まきしてもよいでしょう。種まきするときには、皮をむき果肉をとって洗ってから蒔くようにします。

それぞれの鉢をリフレッシュ
 冬の寒さを保護するためについていた枯れ葉や枯れた茎を切り、日光がよく当たるようにします。
 枯れたものをとることにより、全体が見えるようになります。増えたもの、減ったもの、こぼれ種で新しく芽生えたものなど全体を確認し、今年は何をメインにするか方針を考えます。
 こぼれ種が飛んできて芽生えたもの(これを飛び込みと言います)は、いい位置に芽生えたものは残し、不要なものは抜きます。
 寄せ植えで1種類だけ多く増えすぎたものは、根元から切り取ります。消えてしまったものがあったら、同じものを加えるか、別のものを加えるか考えます。
 鉢の縁に芽生えたものは、植物にとって環境がよいので、どんどん育ち、内側のものが弱ってしまいます。そうすると、中が空いてバランスが悪くなるので、外側の強いものは抜いたり、根元から切ったりします。抜いたものを、空いている空間に植えなおしてもよいでしょう。
 作ってから3年くらいたち、鉢に根がまわり過ぎてしまったものは、一回り大きな鉢に植え替えをするか、鉢から抜いて根洗いにします。植え替えは2月の中旬から、根洗いにするのは3月がちょうどよい時期です。


お手入れの具体例

 前年の植物の様子を踏まえ、今年、どんな姿にしたいかをイメージしながらお手入れするのが大切です。今回は、昨年のこの時期に実施したお手入れとその後どうなったかを一緒に見ていきましょう。

山野草盆栽のお手入れ前の写真 枯れ葉や枯れ茎がついている
オダマキとノギクとコバノタツナミソウとヒメイヌタデの寄せ植え


①枯れ葉・枯れ茎をとる
枯れ葉枯れ茎のアップ

 枯れた葉は付け根から、枯れた茎は地際で切ります。そうすると全体が見えるようになります。

②全体を見て、今年の方針を決める
枯れ葉枯れ茎がなくなりすっきりとした鉢

 今年は、春はオダマキがメインでノギクの新芽とコバノタツナミソウが添え草、秋はノギクがメインでヒメイヌタデが添え花になるようにしたいと思います。鉢を回してどこを正面にするのが良いのか考えます。水平から見たときも上からみたときも不等辺三角形になるようにできると理想です。

鉢を上から見た写真。草の生えている場所がわかる


③不要な草は抜く 苔を張りなおす

 こぼれ種で芽生えたスズメノカタビラは鉢中のものは景色にするために残し、縁に生えてきたものは抜きます。

 全面に広がった苔は浮いてしまい、かつ苔が水をはじいて土に水が浸みこまなくなるので、一旦はがし、綺麗なところを地面に密着させます。

お手入れ後の鉢をひよこの置物と一緒に飾った写真

 お手入れがすみ、すっきりとしました。株元や地面に日光が届くようにすると、苔の緑が増え、新芽も大きく成長していきます。

④その後の姿


 5月の姿です。春のお手入れの時のイメージどおりになりました。


 8月の姿です。背の高いノギクがオダマキと不等辺三角形を作っています。

 お手入れは、新たに作品を作るのとは別の楽しさがあります。ある程度、植物の生長の姿を知っているので自分の想定を作品に盛り込むことができるからです。イメージどおりになると、とても嬉しいものです。

 一方で、実は、お手入れの方が、新たに鉢を作るのよりも難しいと私は思います。新たに生えてきたものが何なのかわからなかったり、今年どんな風に成長するのかイメージできなかったり、バッサリ切ったり抜いたりしてよいものかどうか躊躇したり。

 慣れないうちは、いざ鉢を目の前にすると迷うもの。そんなときは、教室に参加される際に、ぜひお持ちください。現物でご説明させていただきます。また、1年近くたって、少し荒れてきた鉢があったら、ぜひお手入れのレッスンを受講ください。教室で一緒にプランを考えて、抜いたり植えなおしたりします。お手入れのレッスンでは、多分時間が余るので、残りの時間で小さな鉢盆栽をお作りいただけます。


2~3月に活躍する草花



 クリスマスローズ

 1月から3月に開花するヨーロッパ原産の多年草。花の少ないこの時期に、長いこと咲いてくれる有難い花です。うつむいて咲く花は、庭植えだと上から見る形となり、可愛らしい花の中の様子が窺えません。山野草盆栽にするとその姿や、咲くまでの蕾が膨らんでいく様子を間近で見ることができるのでおすすめです。

 この草花の移り変わる姿は、https://www.instagram.com/explore/tags/suzuranra44/でご覧いただけます。


Q&A

Q ヤブコウジやゴールテリアの赤い実をとるときは、どの部分をとりますか?


A 枝からぶら下がっている軸のところからとります。




春の野草観察ツアー

 前号でご案内した、春の野草観察ツアー、数名の方からお申込みをいただいたので、実施する方向で考えます。お申込みいただいた方、ありがとうございました。つきましては、他の皆様でもご希望の方がいらっしゃいましたら、3/9(水)までにworkshop@be-yourself.jp宛にご連絡ください。案内の人が、4~5名に一人ついてくださるので、参加人数によってその調整を行います。


展示会情報

こちらを確認してください。(国風盆栽展及び立春盆栽大市の情報を掲載しております)


教室の日程・予約について

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、引き続き、定員3名にして実施いたします。 

 ご希望の日程が既に満席の場合は、ご都合の良い日程をご連絡ください。教室の都合が合えば、新規日程として追加いたします。
 また、メールでの教室のご予約は、こちらを参照ください。


今後の教室の予定

 4月の予定は、調整中です。決まりましたら、以下のサイトからお申し込みサイトへのリンクを貼るようにいたします。ご確認の上、お申し込みください。