睦草だより 第15号 2020年12月

 
ノジギクの花がたくさん並んだ写真
晩秋に咲くノジギク


再生させる楽しみ

 「山野草盆栽で何をしている時が一番楽しいですか?」 ある時、会員の方から質問されました。私は、少し考えてから「少しほったらかしにしてあった鉢に手を入れて再生させる瞬間が一番好きです」とお答えしました。山野草盆栽は、作った時が始まりで、どんどん変化していきます。というか、しばらく放っておくと、庭が荒れるのと同様、鉢の中も乱れていきます。でも、その鉢も、丁寧に枯れ葉をとって、抜いたり剪定したりして、すっきりさせ、寂しいなと思うところに新たに苗を加えたりすると、見違えるように新しい姿でよみがえります。 心なしか、盆栽も喜んでくれているように感じます。その瞬間が一番好きです。

お手入れ前の山野草盆栽の乱れた姿 枯れ葉、枯れ茎がついている
少し放っておいた山野草盆栽

お手入れ後の山野草盆栽 ノギクの綿毛、イヌタデの赤い葉で晩秋の景色
再生後



皆さんにもその瞬間を味わってもらえたらと思います。 

先日、教室にいらしてくださった方が、以前作った鉢をいくつかもってきてくれました。今年の夏は暑かったので、やはりその後弱ってしまったそうです。 

通常のレッスンの後、短時間でできる方法で手入れをしました。寂しくなった部分は、土を掘り、庭にある手ごろな草花を加えたり、発芽しやすい種を蒔いたり・・・。

「こんな風にやるのか」と言って、新しくなった鉢を喜んでくれました。 

ちょっとした手入れは、通常のレッスン後に、しっかりと考えて剪定やリメイクするのはお手入れの回で実践して説明します。 
「作る知識や技術」だけでなく「手を入れながら長く持ち込んでいく知識や技術」も山野草盆栽では大切です。どうぞお気軽にご相談ください。


12月のお手入れ


置き場所
 寒さが厳しくなる時期です。作った鉢や苔玉は、戸外で越冬できますが、寒風が直接当たらないようにベランダの内側や軒下に入れるなど工夫します。 

 ユキワリソウやバイカオウレンなど半日陰が好きな草花も花の咲く前のこの時期はしっかり日にあてます。 

水やり 
 水やりは2日に1回程度でよくなりますが、風の吹き具合、空気の乾燥の程度で鉢の乾きは変わります。鉢の表面をよく見て、時々鉢や苔玉を手で持って、乾き具合を確かめましょう。なお、午後遅くや夜間にあげると鉢内の凍結につながるので、午前中に済ませます。 

肥料 
 12月から2月までは、肥料はお休みです。肥料ケースごと抜き取ります。 

枯れ葉、枯れた茎 
 枯れ葉はとりましょう。地面に落ちたままにしておくと病気になってしまいます。 

 ノギクやイソギクなどは茎が枯れ、根元に新芽をたくさんつけます。枯れた茎は翌年の2月に新芽を残して切り戻しをします。 

 ススキなど穂が出た茎は枯れますが、穂の出ない茎は緑のまま残ります。翌年の2月に枯れた部分を切り取ります。 
(菊類もススキなどのグラス類も汚くなっていたら今切っても大丈夫です。) 

 オヘビイチゴやオトギリソウはロゼットという地に張り付いたような葉で越冬します。このロゼットは、赤紫色になり、冬の景色として楽しめます。 

 苔玉にした樹木(ハゼノキ、モミジ、シモツケなど)は、葉が落ちて枯れたように見えても、生きています。冬枯れの姿を楽しみ、水やりを忘れないようにします。 

宿根草と一年草 
 ナチアワモリショウマ、オトメギボウシ、ワレモコウなどの冬に枯れる多年草(宿根草シュッコンソウと言います)は、地上に葉がすっかりなくなってしまいます。それでも、枯れたわけではありません。土の中では根が生きているので、水やりを忘れないようにしましょう。 イヌタデなどの一年草は、こぼれ種で来年芽を出します。花がらは取らず、種がこぼれるようにしておきます。


飾る楽しみ

 クリスマスやお正月、家の中の飾りつけにぜひ、作った苔玉や盆栽を加えてみてくださいね。赤い実のゴールテリアやヤブコウジは、一緒に飾る小物によって、クリスマスにもお正月にも飾れます。

天使の聖歌隊をバックにしたヤブコウジの赤い実の入った山野草盆栽
クリスマス 聖歌隊とともに


小さな赤べこ、黒べこを横に置いた赤い実のヤブコウジが入った山野草盆栽
お正月 来年の干支 赤べこと黒べことともに




 ナンテンは~難を転じて福となす~に通じることから縁起がよい木と言われます。お正月ごろに真っ赤に紅葉するのも嬉しいポイントです。


山野草盆栽の鉢


 鉢作家、片岡美津江さんの鉢が入荷しました。片岡美津江さんは、落ち着いた色の焼き締めの鉢を独創的なデザインで作られます。同じデザインのものをいくつも作る作家さんですが、今回、睦草の教室用に少し大きさや柄を変更したものも作っていただきました。直接仕入れさせていただいているので、定価より安い価格になっています。気に入ったものがあれば、ぜひ、使ってみてください。

片岡美津江さんの山野草盆栽の鉢がたくさん並んだ写真

 

12~1月に活躍する草花

赤いヤブコウジの実のアップ



ヤブコウジ
 常緑性の低木で、盆栽では高さ10㎝から15㎝。6~8月に白い花を咲かせ、その後、緑色の実をつけます。実はだんだん赤くなり、お正月に飾る盆栽として活躍してくれます。花から実へと長く楽しめるのでお勧めです。この草花の入った草もの盆栽はこの草花の入った山野草の盆栽は、こちらでご覧いただけます。 https://www.instagram.com/explore/tags/suzuranra2/



Q&A

Q ユキワリソウの葉が汚くなってしまいました。切ってもいいですか? 

A 春から秋まで過ごすうちに、縁が黒ずんだり、だらしなく垂れ下がったりしている葉もあることと思います。すでに蕾があがってきているこの時期は、葉を切っても大丈夫です。スッキリさせて、綺麗な花を楽しみましょう。 

Q どんなジョウロがいいですか?ホースで水やりしてもいいですか? 

A ジョウロは、はす口のついたもので霧状に水がまける目の細かいものを選びましょう。はす口が外せるようになっていると、目が詰まったときに掃除がしやすいです。

プラスティック製のジョウロ はす口付き
ジョウロ

はす口のアップ 細かい目の穴があいている
はす口

ホースで水やりするときは、ホースのノズルで、霧状に出るような水形(exジョウロ)を選べるものにしましょう。通常のシャワーだと強すぎます。水やりのときに、土が減ってしまうのは、水の粒が大きかったり、水勢が強すぎたりするのが原因です。ノズルを変えたり水勢を弱めたりしてみましょう。


教室の日程・予約について

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、引き続き、定員2名にして実施いたします。 

 ご希望の日程が既に満席の場合は、ご都合の良い日程をご連絡ください。教室の都合が合えば、新規日程として追加いたします。
 また、メールでの教室のご予約は、以下でお願いいたします。


Peatixのサイトで、空き情報を確認の上、以下を記載して、workshop@be-yourself.jp宛にメールを送信してください。
※リアルタイムでの返信が困難なこと、タイムラグにより満席になってしまい希望の日時に予約ができない場合があることご了承ください。

※翌日中にも、予約確認のメールが届かない場合は恐れ入りますが、再度メールをいただけますようお願いいたします。

・お名前
・鉢盆栽or苔玉の種別
・希望の日時
・フェーズ(Step1 Step2)
・ご希望のメニュー

  Step1 鉢盆栽の場合
①半日陰が好きな草花の寄せ植えで作る鉢盆栽
②日なたが好きな草花の寄せ植えで作る鉢盆栽
③ 葉を楽しむ野草を加えた寄せ植えで作る鉢盆栽
④小さな鉢で作る鉢盆栽(2鉢)
⑤ 今まで作った鉢盆栽や苔玉のお手入れ
⑥ わからないのでおまかせしたい

  Step2 鉢盆栽の場合
①春の景色を作る鉢盆栽
②秋の景色を作る鉢盆栽
③年間通じて楽しめる鉢盆栽
④自分のプランで作る鉢盆栽
⑤今まで作った鉢のリメイク
⑥根洗いへの変更

・鉢を持ち込む場合は、持ち込む鉢(大きさ・形)を具体的にお知らせください。
・今まで作った鉢のリメイクの場合は、今の鉢の状況をお知らせください。
・ご希望の苗がありまいたら、記載してください。 


今後の教室の予定

 1月の予定が決まりました。2月も近日中に決定します。
 以下のページからお申し込みサイトに行き、お申込ください。