10月31日から11月3日まで、東京、高尾にある駒木野庭園で錦秋庭園ぼんさい展が開催されました。駒木野庭園は、高尾山の裏側にある、昭和初期に建てられた古民家とその庭を日本庭園に整備された趣のある場所。ぼんさい展では、その古民家の中で行われました。
通常の展示会は、伝統的な樹木の盆栽の会や、山野草の会が主催するため、その会のジャンルの盆栽がたくさん見られる場となります。一方、このぼんさい展は、ある特定の会やグループの展示会ではなく、いろいろな会の方や個人が参加するので、伝統的な樹木の盆栽から草もの盆栽、雑木と山野草を組み合わせた草木盆栽など、さまざまなタイプの盆栽が楽しめます。
また、盆栽を複数組み合わせてその季節を表現する、席飾りを見られるのも飾るスペースにゆとりがあるからできること。床の間飾りや、畳の上に青氈を敷き、それぞれの席の盆栽の雰囲気や大きさに合わせて屏風がたてられる座敷飾り、この古民家を雰囲気を存分に生かした飾りが見られるのです。
私は3年前から飾らせていただき、今回4度目の秋の展示となりました。
今回は、ようやく葉が色づき始めたジュウガツザクラとノギク、イヌコウジュの草木盆栽をメインに、開き始めたノコンギクとメリケンガヤツリ、ベニバナウツギとスゲを寄せた鉢を組み合わせ、秋の景色を作りました。広間の開けたスペースにおおらかに飾らせていただけてとてもありがたい機会でした。
| ジュウガツザクラ・ノギク・イヌコウジュ・スズメノヤリ(自作鉢) ノコンギク・メリケンガヤツリ(自作鉢・自作陶板) ベニバナウツギ・スゲ(自作鉢・自作陶板) |
| ジュウガツザクラの紅葉の始まり |
| ノギクとイヌコウジュの種姿 |
| 蕾、開きはじめ、満開のノコンギク |
毎回足を運んで長いことご覧になっていかれる方、一度見てみたかったと遠くからいらしてくださった方、通りがかりに偶然入ってくださり、山野草盆栽を初めてご覧いただく方など、さまざまです。
初めてご覧になる方は「生け花かと思いました。」とおっしゃっていました。「投げ入れを学んでいたけれども、それに相通じるものがありますね。」言われた方もおり、草木を愛でる感性は共通するものがあるような気がします。展示会で、こうして作品を介して直接いろいろな方とお話することができることは何よりの楽しみです。
今回も、飾るにあたっては、作品選びに始まり、卓の高さや大きさ、陶板や地板の組合わせ、作品の配置など、悩みに悩みました。でも、その経験が「盆栽を飾る」ということの糧になります。
盆栽を始めたころは、「作る」ことが楽しく、そのうちに「育てて作品にしていく」ことに魅了され、今はそれに加えて「飾る」ということの面白さを感じています。
そのすべてを皆さんにご覧いただける、このような機会に心より感謝しています。そしてこの貴重な経験を盆栽教室でも生かしていきたいと思っています。
この駒木野庭園は、普段も立派な盆栽が庭に置かれ、その季節ならではの盆栽が室内に飾られています。建物そのものも、見事な欄間やふすま、外の景色が歪んで見える昔ながらの窓ガラスなど、見どころがいろいろあり、建物を見に来ましたとおっしゃっていた方も数多くいらっしゃいました。高尾山に行かれた際には、立ち寄ってみること、おすすめします。
また、春にも庭園ぼんさい展は開催されます。もしよろしければ春の展示会にもいらしてみてください。
高尾駒木野庭園 (東京都 八王子市)