山野草盆栽や草木盆栽をいくつか組み合わせて、その季節ならではの景色を作るのが席飾り。盆栽教室の生徒の皆さんの作品を見ていただくリアルな展示会はまだ難しいので、写真に収めてWeb上で見ていただくWeb展示会という形をとっています。希望者を募って、盆栽教室の生徒のみなさんと私の作品の写真を撮りました。山野草盆栽や草木盆栽の見所は、咲いている花のみならず、つぼみや新緑、樹の立ち上がり、枝ぶりなどたくさん。合わせる陶板や卓、布、添配など各自工夫しました。睦草の陶芸体験教室で作った自作の鉢や陶板もあります。この季節ならではの瑞々しい景色を、ぜひご覧ください。
■展示作品 2024年5月 東京都狛江市にて撮影
■展示作品
作品名は左から
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江川 真理子
コナラ・イヌトウバナ(大竹慎一郎さんの鉢・自作陶盤)
ヘビイチゴ(自作陶盤)
ノギク・リンドウ・コバノタツナミソウ(大竹慎一郎さんの鉢・自作陶盤)
コナラの葉
ヘビイチゴ
ノギク・リンドウ・コバノタツナミソウ・タチツボスミレ
今回は、初めての枝ものの席飾りに挑戦。昨年秋に作った実生のコナラの草木盆栽をメインに、高尾山の麓の景色をイメージして作りました。伸びやかに生長したコナラは、長さ90cm近くあり、新芽の明るい緑が鮮やかです。高尾で見られたニリンソウを合わせたかったそうですが、ちょっと前に花が終わってしまったとのこと。代わりに、昨年の秋の展示会でも飾ったノギクとリンドウの鉢。緑いっぱいの鉢は秋とは打って変わってこの季節ならではの景色です。アクセントに置いたヘビイチゴの鉢が、長いランナーと赤い実でやさしさと彩りを添えてくれました。
橋本 和江
ホトトギス青藤・ノギク・タチツボスミレ(遠藤正樹さんの鉢)
ハンゲショウ(自作陶盤)
ドウダンツツジ
ハンゲショウ
今回、初めての参加。最初は見学をとのご希望だったのですが、せっかくの機会なので飾ることにも挑戦していただきました。教室で作ったホトトギスの鉢に、自分で作った苔玉二つを組み合わせた席飾り。ドウダンツツジの流れるような枝ぶりが台に載せることでよくわかるようになりました。教室では、樹木で苔玉を作りますが、草で作ったハンゲショウの苔玉も少しいびつな球形で自然風。一緒に添えたカエルも、いい仕事をしてくれています。古くから家にあったカエルとのこと。古いものの持つ、いい味わいが出ています。緑の葉と苔でしっとりとした風景が浮かび上がり、これから蒸し暑くなる季節にも飾りたい景色です。
岩下 由紀子
メイゲツソウ・矮性ノガリヤス・アシズリノジギク (自作陶盤)
アキグミ・ヤクシマツルキンバイ・草 (自作鉢・自作陶盤)
コハリスゲ・スミレ・ヤエヤマスズコウジュ (自作陶盤)
アキグミの枝・葉
メイゲツソウ・矮性ノガリヤス・アシズリノジギク |
コハリスゲ・スミレ・ヤエヤマスズコウジュ
アキグミの柔らかな枝ぶりと輝くような葉をメインに、緑あふれるこの季節の席としました。このアキグミは、先輩が剪定したアキグミの小さな枝を挿し木したもの。3年ほどたって、樹形ができてきたので、鉢に入れてさらに2年半。下からカーブして出てくる優しい感じの枝を大切にしています。時間をかけて自分で作った素材が景色になっていくのを見るのは、格別です。アキグミに合わせたヤクシマツルキンバイが少し前に終わってしまったので、赤い葉の綺麗なメイゲツソウを彩りに。小さな鉢のヤエヤマスズコウジュが今回唯一の花。小さく咲いています。
岩淵 幸子
ヤクシマザサ(自作鉢・自作陶盤)
ハマボウ・アシズリノジギク・イブキジャコウソウ(自作鉢・自作陶盤)
アシズリノジギクの葉
昨年の秋に作ったハマボウの草木盆栽をメインに2点飾りで構成。ハマボウの草木盆栽は、海岸に生える植物の寄せ植えなので、海辺の景色を作りました。ちょうどタイミングよくイブキジャコウソウも咲いてくれ、彩りと素敵な香りを漂わせています。添えにしたのは、小さなヤクシマザサ。岩場を思わせる自作の鉢に、そこに生えていそうな形の草の取り合わせ。水を思わせる自作の小さな陶盤も景色づくりに貢献しています。
ハマボウは秋の紅葉も美しい樹木。アシズリノジギクの紅葉と相まって、素敵な景色になりそうです。
中野 優希
ヒメサルスベリ
ヒメユキノシタ
ツクシカラマツ
こちらも今回初めての参加。見学をご希望でしたが、最近、盆栽熱が高まり、この春ご自分で作った作品を持ってきてくれました。急遽、その場で作った三点飾り。小さな鉢に合う低めの台を他の生徒さんが貸してくださり、立体的な景色になりました。平面に配置していたときは、単調な感じでしたが、いざ、台にのせると、途端に印象が変わります。
ヒメの名の付く小さな草木が、手作りならではのやさしいラインの鉢に入り、全体的にかわいらしい席となりました。それぞれ、持ち込むことによりどんな景色になっていくのか、楽しみです。
片倉 桃子
こちらは、ちょうどよく咲いてくれたチャルメルソウをメインに考えた席飾り。チャルメルソウの花は地味ですが、チャルメラの形をした趣のある花。メタリックの釉薬をかけた浅鉢に渋い葉色のチャルメルソウと緑あふれるシダが静かで落ち着いた景色を作ります。一方、台湾バイカカラマツのかわいい花殻がスズメノヤリの穂と一緒に春の終わりののどかな一コマを思わせます。ちょうどその日の朝につぼみを開いたというチシマタンポポが彩りのアクセントになりました。林の中の陽だまり、木漏れ日の下、木陰を思わせる、穏やかな席飾りになりました。